所得の差と教育格差

所得と学歴の相関を実感した高校時代

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「私立の大学には通わせられないよ」「浪人もさせられない」「国立の大学に通え」が私が高校時代の父の口癖でした。結局大学は、海外の大学に通いましたけどね!父の言いつけは間を取って守れましたよ!(ちなみに台湾は学費と生活費全部込々で年間100万っす)

小中高と家計の事情で塾には通っていません。高校はなんとか市内の進学校に進むことができました。うちは両親ともに最終学歴が高卒です。

幸いにも一般的なサラリーマン家庭でした。一方で高校の同級生のお家の方はというと学校の先生であったり、大企業の社員であったり、会社の社長であったりとなかなか良い職についている方が多かったです。

このとき初めて「子供の学力と親の所得は関係があるんだ」と実感しました。

高校時代に感じていた「収入と子どもの学力」の関連性について、「なんとなく」ではなく数字と学術的根拠も交えて共有していきたいと思います!

日本の所得の現状

日本社会では現在、所得の二極化や貧困率の上昇が見られ 、格差拡大しています。所得が二極化するということは、中間所得層が少なくなっていることを意味します。

社会での所得の不平等さを測る物差しの一つに「ジニ係数」というものがあります。0に近いほど格差が少なく、1に近いほど格差が大きくなります。

出所:厚生労働省「所得再分配調査」

青色の線が税金によって調整されていない純粋な所得状況です。

それに対して、赤い線再分布所得の格差を表します。再分布所得とは、社会保障制度での給付と負担、租税制度における負担が所得の分配に与える影響を所得階層別、世帯及び世帯員の属性別に明らかにするものです。

所得再分布が行われることで、当初0.5であったジニ係数は0.3にまで低下していることが分かります。

再分配機能が強まるいうことは、所得格差が大きいことも意味します。所得税や裕民税、社会保険料は収入が多い人ほど高額です。

このように所得格差を埋めるためには行政サービスなどが調整していることによって、所得格差縮小を図っているのです。収入の多い人ひど税金負担が大きく、収入が少ないひとほど税金負担が少なくなることで格差を減らすため、このような政策は重要と言えます。

日本の貧困率

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貧困には「絶対的貧困」「相対的貧困」があります。

日々の生活を送る上で必要最低限必要な食料と、食料以外を購入できないことを「絶対的貧困」といいます。一方で、「相対的貧困」とは、ある地域社会の大多数よりも貧しい状態を示します。

日本社会での貧困層は正確には「相対的貧困層」であり、厚生労働省が公表している等価化処分所得(収入などから税金や社会保障費などを引いた金額)の中央値の半分に満たない世帯が相対的貧困層と定義されます。

2015年時点では等価可処分所得の中央値は245万円であり、この半分となる122万円未満の可処分所得の世帯が相対的貧困層にあたります。

2015年の調査によると日本の相対的貧困率は15.6%子どもの貧困率は13.9%という結果でした。そして一人親家庭の相対的貧困率は50.8%と、とても深刻な状態であることが明らかになりました。

日本の相対的な貧困率が15.6%ということは、日本国民の6人に1人が相対的貧困層にあるということになります。

子どもの貧困層が13.9%ということは7人に1人が貧困層にあたります。一クラス30人と考えると、一クラス4人は貧困層になる計算です。

世帯所得と子どもの学力

ここでは経済状況によって実際に子どもたちの学力格差が生まれるかどうかを見ていきたいと思います。

お茶の水女子大学が行なった「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の 専門的な分析に関する調査研究」(2013年)を見ていきたいと思います。この研究では小学6年生と中学3年生を対象に各所得における、国語と数学の正答率を測定したものです。

以下のグラフが結果を表したものです。グラフ全体が右上がりになっているということは、所得が上がるにつれて正答率が上がっている。つまりは、所得が高いと学力も高くなる傾向があると言えます。

教育格差

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「世帯所得と子どもの学力」の項目からも分かるように、所得の差があることによって学力の差が存在します。このように「生まれ育った環境により受けることのできる教育に格差が生まれること」教育格差と呼びます。

そして、進学率を見ると経済格差が顕著に現れているのが分かります。文部科学省による、2017年時点での報告によると、全世帯での大学・短期大学の進学率が58.6%に対し、生活保護を受ける家庭の大学・短期大学の進学率は19%でした。

というのも大学進学には費用がかなり必要になります。文部科学省令による標準額では、国立大学で入学金28万2,000円、授業料が53万5,800円です。奨学金制度があると言えど、社会に出てからの負担になります。

結果として、年収が低いほど「進学より就職」が高率となり、金銭的な都合によって学ぶ機会が奪われる場合もあるのです。

小4の壁

「9歳の壁」「10歳の壁」「小4の壁」を聞いたことがあるでしょうか?

子どもの成長は9~10歳の時期に大きく転換するものです。これまでは具体的なモノや数以外を認識するのは困難でしたが9~10歳になると抽象的な概念も理解できるようになります。

発達段階に合わせて、小学校では抽象的思考の授業が始まります。例えば算数では分数や割り算の学習が始まりますが、子どもの発達には差があるので「10歳の壁」「9歳の壁」「小4の壁」を越えられない子どもが続出するそうです。

公益財団法人日本財団の「家庭の経済格差と子どもの認知・非認知能力格差の関係分析」(2017年11月)の調査結果をグラフから見ていきたいと思います。

偏差値は50が平均になります。50以下であれば平均以下、50以上は平均以上として見ます。ちなみに東大の偏差値は(模試にもよりますが)70前後なので、偏差値を上げることはテストで100点を取るよりも難しいです。

そして結果から分、10歳時には特に経済的に困窮していない世帯、生活保護を受けている世帯では顕著な偏差値の差が見られることが分かります。このことからも、貧困層にある場合、9歳の壁を超えるのが難しい場合が多いことが伺えます。

早期の学習支援の重要性

引き続き、公益財団法人日本財団の「家庭の経済格差と子どもの認知・非認知能力格差の関係分析」(2017年11月)の調査結果から早期の学習支援の重要性について見ていきたいとおもいます。

次のグラフは偏差値が45以下であった児童が、翌年偏差値が45を上回る割合を調査したものです。簡単に言えば、子どもたちが翌年に去年よりも学力が上がったかを検討するものです。

低学年時は、前年の偏差値が45以下であっても、翌年には3~4割が偏差値45超まで上昇します。そして、グラフの結果からも分かるように、9歳から10歳にかけての割合が顕著に少ないことが分かります。13歳から14歳の結果からも分かるように学年が上がるにつれて、「逆転」の可能性は低下していき、低学力が固定化してしまいます

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