発達障害のある子を持つ保護者のメンタルヘルス

今回は子どもたちではなく、凹凸のある子どもたちの保護者の皆さまの心に焦点を当てた内容になります。

子どもたちが元気で居られる理由

woman and girl walking on road surrounded by green grass

子どもに凹凸がある場合、凹凸のある子に関心が向きがちになります。ですが、子どもたちが健やかに過ごせるのは、お家の方を始めとする周囲の人々のサポートがあるからです。そこに、子どもたちの凹凸の有る無しは関係ありません。

私の母は子育てをするうえで常に私のことを優先に考え、私を育ててくれました。どのご家庭の保護者様も同じような気持ちで子供たちを育てているかと思います。子を思うが故に自分の子育て法に迷い、時に落ち込むこともあるかもしれません。

この記事では同じような悩みを抱えている保護者様が他にもたくさんいらっしゃること、そして悩む原因について共有していきたいと思います。

発達障害のある子どもをもつ保護者のメンタルヘルスの実体

woman between two childrens sitting on brown wooden bench during daytime

‐うつ病の発症率‐

厚生労働省から研究費の補助金を受けている研究で「高機能広汎性発達障害児・者の母親の精神的健康への対応」という研究がありました。

そしてその研究によると、「広汎性発達障害児の母親には抑うつ状態を呈している方が非常に多く見られました。軽度を含めて4 割、重度は約1 割。気質および母親自身養育環境が抑うつの発症に関与していました。」(野邑他,2010)と報告されています。

重度のうつ病の発症率は全体で1%です。それに対して、広汎性発達障害のある子供たちの保護者のうつ病の発症率は1割(=10%)です。

といことは、発達障害のある子どもを持つ保護者は10倍もの割合でうつ病を抱えているという実情があります。

発達障害のある子どもをもつ保護者のメンタルヘルスの実体

person holding baby's index finger

‐メンタルヘルスの低下の原因‐

そして、子どもが発達障害を抱えている以外に、母親自身の気質や母親の今までの療育環境が抑うつ状態に関与していることが分かりました。

このことから、一層の研究調査を行ったのが障害のある子どもをもつ親のメンタルヘルスの実態 —「保護者のためのこころのケア相談」における語りの分析から—(一瀬早百合,2015)になります。

調査対象は、ある療養センターを2009年10 月‐2014 年の7 月に利用した25 名の母親です。その内、7名の母親には2人の障害のある子どもを持つため、子どもの数が32名になります。

マルトリートメント(不適切な養育)が疑われる母親は11 名おり,44%の割合でした。複数の子どもに障害があるケースにだけ限定してみると7人中5 名で71%がマルトリートメントの可能性があり,育児の負担とマルトリートメントの関連性が見られます。

調査方法としては保護者のケア相談によって、相談内容を語るというという方法です。

そして、相談内容をいくつかのカテゴリーに分けると「原家族からの満たされなさ」、「いじめやDVによる傷つき」、「これまでの子育ての苦労・疲労」、「人生の不条理」、「夫の支配・無関心」、「居場所のないママ友関係」、「子の所属集団への不信・傷つき」、「自身の振る舞いへの不安・後悔」の8つの項目に分別することができたそうです。

そしてこれらの調査によって、わが子に障害がある出来事によって今までの人生のなかで解決されていない問題が再熱される可能性があることが分かったそうです。

そして、問題が解決されず手当てがされないことがメンタルヘルスに負の影響を与えます。したがって、保護者のケアをするには今現状の「生きづらさ」をサポートするだけでなく、過去の「傷つき体験」のケアも重要になると報告されています。

発達障害のある子を持つ保護者支援の必要性

woman in gray shirt covering her face with her hair

子どもに発達障害があると分かった際には、子どもを第一に優先し、治療とサポートに目を向けられがちです。ですが、研究結果からも分かるようにサポートする保護者の抑うつ傾向が高く、保護者もケアが必要なことが分かります。

厚生労働省による「今後の障害児支援の在り方について(報告書)」においても、家族支援の重視が今後の重要なポイントとして位置づけられています。

そして、支援の内容には保護者の「子どもの育ちを支える力」を向上させることを目的としたペアレント・トレーニング等の支援、②家族の精神面でのケア・カウンセリング等の支援、保護者等の行うケアを一時的に代行する支援3つが挙げられています。

そのため、子どもの障害の認識を深める支援と、保護者の心のケアによるの支援が双方に、そして同等に提供される必要性があることが分かります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

普段は子どもたちの育児に追われ、なかなかご自身のケアをすることが難しいかと思います。ですが、子どもたちが健やかに生活できるのも、保護者の皆さまが居るからこそです。

子どもたちに代わって、いつもありがとうと伝えたいです。

それではまた🦉!

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