ADHD は、不注意・多動性・衝動性を特徴とする発達障害のひとつです。
自分の行動をコ ントロールすることが苦手で、注意力が弱く、落ち着きがない特性から、生活の中で様々 な不適応を起こしてしまいやすく、“周りを困らせる子′′という見方をされてしまいがちで す。
ADHD は、脳機能や神経伝達物質が原因とされますが、現段階では原因を明確には特 定することができていません。だからこそ、周りが困っている以上に、本人が一番困って います。
今回は、放課後等デイサービスの ADHD の子への配慮についてお話をします。
目次
ADHD の特性
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AHDH は、不注意、多動性、衝動性のうちのどの特性が強く現れるかによって、 「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合発言型」のタイプに分かれます。
多動性・衝動性優勢型
多動性は、じっとしていられず無意識に体を動かしたり、静かにしていなければならない 場面で喋ってしまったりする特徴が見受けられます。授業中椅子をガタガタ揺らしたり、 おしゃべりがやめられなかったりして注意されるケースがあります。 衝動性は、思いついたことをすぐに行動に移してしまいます。それがやってはいけないこ とだとわかっていても、判断する前に即座に行動に出てしまい、行動にブレーキをかける ことができません。
・おしゃべりがやめられない
・落ち着きがなくじっとしていられない
・カッとなりやすい
・順番を待てない
・先の見通しを立てるのが苦手
不注意優勢型
注意散漫で物事に集中しにくく、忘れやすい状態です。周りからの刺激に気を取られて気 が散る、早合点によるうっかりミスが多い、自分から周りに注意を向けることができない ために事故や怪我につながることもあります。
・集中できない
・話を聞いていないようにみえる
・もの忘れが多い
・周囲の刺激に気をとられやすい
・ものをなくしやすい
混合発現型
「不注意」「多動性・衝動性」の両方の特性がみられます。
実は、AHDH の 8 割が混合発現型タイプです。
※「理解を深め、支援する ADHD の子どもたちをサポートする本」を参照
放デイでの取り組み
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放デイには注意散漫のお子さんやずっと喋り続ける子、目の前の物を取ってしまうなど 様々なお子さんが通所しています。
不注意や衝動性の特性のある子には、刺激の少ない環境で取り組めるように環境配慮を行っています。また、その日に行う内容を予め伝え、先の見通しを立てる配慮もしています。見通しを立てることが苦手なお子さんには、ストップウォッチやタイマーなど目(視覚)や 聴覚(音)で分かるものが有効です。
小さいお子さんは、カラフルな教材の方が興味を持ちやすい傾向があります。ですので、 勉強に取り掛かりやすいようにイラストが含まれているものや、カラーコピーする工夫をしています。
椅子にずっと座っているのが難しいお子さんに対しては、スタンディングデスク(立った状態で勉強する)ことも有効です。
以下では、より具体的な配慮を紹介していきます。
ADHD のお子さんが座る席への誘導
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注意散漫な子や衝動性のある子は、周りに音がする物や触れる物などがあると気が逸れやすくなり、集中して勉強に取り組むことが難しくなります。
そのため、周りに何も置いていない環境へ誘導する配慮をしています。実際に、私たちの教室では周りに何も置いてい ない端の席に誘導して学習に取り組んでいます。学校の場合は、一番前の席に座ってもら うという工夫をすることもできます。(本人の同意を得た上で)
勉強椅子の足にゴム紐をつける
このことは特に多動性のあるお子さんに対して取り入れています。来所したら椅子の足に ゴム紐が付いている席に誘導して、ゴム紐を踏む・伸ばす等足を動かして勉強することで きます。
イメージ図
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不適切な行動をしたときはその都度声をかける
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ADHD の子どもたちに対して「その行動は不適切だよ」と理解してもらうために、不適切 な行動をした時にはその場で注意することが大切です。
注意をしたとしても、すぐにはその行動をやめることはできないかもしれません。だからこそ忍耐強く、その都度不適切な 行動をしたときには声かけしていくことが大切になります。
例えばパソコンを乱雑に扱った時には、名前を呼び注意をこちらに向けて「そういうこと をしてもいいの?」と伝えます。伝える時も“真面目に話している”ことを伝え、「良くないことをしている」と理解してもらうことが重要です。
時間を決める
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おしゃべりが多い子は、学習前に “この時間はお話をする時間” “この時間は学習する時 間” と最初に約束をすることでメリハリをつけることができます。事前に約束を伝えずに 切り替えを促しても「えー。なんで」と学習の意欲低下にも繋がってしまうことがあるか らです。
集中力が続かないお子さんには「2 分間以内で頑張ろう」と時間をこちらで決めることが あります。そうすることで、その時間だけは集中を促すことができます。
まとめ
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☆集中できるように学習環境を配慮する
☆先の見通しを立てられるように事前に取り組む内容を伝えたり、提示をする
☆集中力が持つように取り組む内容と終わりの時間を決める
刺激の少ない環境で取り組めるようにこちら側が環境の配慮を行い、個人の特性を理解する。そして、先の見通しを立てやすいように声かけを行い、教材を工夫してすることがとても大切になります。配慮された環境のもとでたくさんの成功体験を増やし、自尊心を高めることがとても大切です。
ADHD は「大人の言うことを聞かない子」「ルールを守らない子」など「困った障害だ」 という見方をされてしまうことがあります。ですが、実際には本人が1番困ってます。
AHDH の子どもは、自分をうまくコントロールできないために、他の子どもと同じように 行動することが難しいです。わざと周囲を困らせるような行動をとっているわけではあり ません。彼ら自身が自分でもどうしようもなく、そうした行動をとってしまうということ を周囲の人たちは心に留める必要があります。