今回は、自閉症の学術的な診断基準や原因、そしてどんな支援が必要なのかを共有していきたいと思います。
生活のなかで見られる自閉症の方々の特徴や様子は自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害の特徴こちらに書いてあります!ですので、普段の生活のなかでASDのある方々の様子を知りたい方は、そちらから読むと理解が深まるかと思います。
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自閉症スペクトラム障害の診断基準
精神疾患の診断基準に使われるDSMですが、現在は最新版のDSM-5が使用されています。そして、これらの診断基準はDSM-5を基に執筆しています。
C点に関して疑問に思った読者様もいらっしゃるのではないでしょうか?
C点では、「症状は早期の発達段階で存在」とありますが、具体的に何歳からというのは書かれていません。筆者が書かなかったのではなく、原本に無いのです。
ですので、参考にDSM-5の前版であるDSM‘‐4‐TRを見ますと、「3歳以前」と明記されています。また、発症年齢の明記だけでなく、「対人的相互反応」、「対人コミュニケーションに用いられる言語」、「象徴的または想像的遊び」、この3点のうちの一つに機能の遅れや異常が無いかも診断基準とされていたので、参考までにしてください。
自閉症スペクトラム障害の原因
自閉症スペクトラムが早期の段階で発症することから、多くの専門家は「生物学的要因によって自閉症スペクトラムは生物学的要因によるものである」という考えを支持しています。
ですので、ここではその生物学的基盤のなかでも遺伝要因と神経学的要因を見ていきたいと思います。
それではまず、遺伝的要因について見ていきたいと思います。兄弟姉妹の間で自閉症スペクトラム障害がある場合、他の兄弟姉妹にも自閉症スペクトラム障害がある比率が高くなります。その比率というのは、兄弟姉妹に自閉症スペクトラム障害の方が居ない場合の75倍にも上ります。
また、双子の研究では遺伝的要因を裏付ける証拠が強力に得られています。一卵性双生児の一方が自閉症を発症した場合、もう一方も自閉症スペクトラム障害であった確率は61~90%でした。それに対し、二卵性双生児の場合は0~20%の割合でした。
次に、神経学的要因について見ていきたいと思います。自閉症スペクトラム障害の子供の脳波を扱った初期研究によると、定型発達の子どもたちとは異なる脳波形を示すことが明らかにされています。
また、他の研究では自閉症スペクトラム障害のある青年と定型発達の青年の脳の大きさを比較したところ、自閉症の青年の方が脳が大きかったことが報告されています。脳が大きければお得で頭が良くなりそうですが、脳の大きさと能力は常に比例関係にありません。
携帯電話の例に挙げて考えてみたいと思います。昔の携帯電話はショルダーバッグほどの大きさで、肩に掛けて持ち運んでいました。
当時の携帯電話は通話しかできませんでしたが、現代のスマートフォンがあれば時計代わりにも、カメラにも、そしてあらゆる情報を手に入れることができます。このことからも、大きいから能力が高いとは常には言いきれないのが分かるかと思います。
そして、脳の場合は2歳から3歳にかけて沢山の脳細胞が急激に発達し増えていきます。そして、その後不必要な神経回路は処理されていきます。
なんだかすごく勿体ない気がしてしまいますが、遠回りばかりさせる道は無くし、最短距離で走れる道のみを残していくことで、頭の回転が速くなるので必要な発達過程になります。
この脳神経回路の処理が不適切であるとき、脳が大きくなることがあります。もちろん全ての自閉症スペクトラム障害の方にあてはまるわけではありません。
また、神経学的発達の異常と行動上の問題に関する研究を紹介したいと思います。この研究では、自閉症スペクトラム障害の方と定型発達の方に、顔で様々な表情を表現してもらい、同時に複数の脳の部位での血流を測るというものです。
その研究結果によると、自閉症スペクトラム障害のある方の場合「顔の処理に関連する部位(側頭葉)と、感情の処理に関する部位(扁桃体)で活性が低かった」ことが分かりました。よって、この実験からも脳の発達が定型発達の方とは異なることが分かります。
自閉症スペクトラム障害への支援の有効性
自閉症スペクトラム障害のある方の支援の目標としては、コミュニケーション技能や生活技能の向上が目標として挙げられます。そして、ここでは行動療法の有効性について紹介したいと思います。
ロサンゼルスにあるカルフォルニア大学のいヴァー・ロバース氏は自閉症スペクトラム障害のある19名の子どもたちに対し、オペラント条件付けに基づくプログラムを行いました。
期間は2年間に渡り毎週40時間以上実施されました(集中介入群)。また、子どもたちに対する支援のみならず保護者に対しても集中的な訓練が提供され、専門家と会っていない時間であっても援助が受けられるように支援がなされていました。
また、対象群としては、40名の自閉症スペクトラム障害の子供たちに参加してもらい、彼らは週に10時間未満の支援がなされていました。
両群に対してオペラント条件付けがなされていましたが、その内容とは攻撃的な行動をせず、他の子どもたちと関わえり、遊ぶといった社会的行動をとることで報酬を与えるものです。
結果として集中介入群(週40時間の支援)の子どもたちは、2年間の支援後平均IはQ83だったのに対し、対象群の子どもたちの平均IQ53でした。
また、集中介入群の19名中12名は正常範囲のIQ(90以上)に達し、対象群の子どもたちは40人中2名のみが正常範囲でした。
そして子どもたちをその後集中介入群への4年間追跡調査したところ、集中介入群では獲得されたIQ、適応的行動、学校での進級が維持されていました。
このことからも、一定期間の中で適切な行動療法の支援がなされることによって、コミュニケーション技能や生活技能の向上の目標が達成され、支援として有効であることが分かります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
学術的なもので少し難しかったかもしれませんが、自閉症について深く知ることが出来たら幸いです!それではまた🦉!