子どもの癇癪(かんしゃく)

癇癪を起こす子供の原因とその対処法について子供の発達、成長とともに詳しく見ていきたいと思います。癇癪には理由があるので、保護者や指導者は対策をすることもうまく対処することもできるはずです。

それでは詳しく見ていきましょう! 

<癇癪とは何か>

「癇癪とは、大声で泣き叫んだり、奇声を発したり、暴れだしたり」といった主に気持ちのコントロール がうまくできないときに起こる行動のことを言います。 

子供の癇癪は、環境の変化や成長に伴って見られます。

中には0歳の頃から癇癪がみられる子もいますが一般的には5歳ごろに落ち着いてきます。2歳~4歳ごろが癇癪を起こすピークと言わ れています。 

怒りや不安などの感情を抑えきれずに(上手に言葉で表現しきれず)大声で泣きわめいたり、物 にあたったりする、奇声を発したりすることで自分の気持ちを表現しようとする様子が見られま す。癇癪にはそれを起こしてしまう理由が必ずあります。また自身や周りの配慮によってできる対策法もあります。 

子供が癇癪を起こす主な原因 

  • 自分のやりたいことが身体機能が未発達なためにうまくできないでイライラしてしまう。 
  • 言語能力の発達が不十分で感情や状況、自分の気持ちをうまく表現できないため。 
  • 怒りや不安などの感情をどう処理していいか受け止めっていいかわからずに癇癪を起こしてしまう。 

癇癪を起こした子どもは、 

  • 床にひっくり返って泣きわめく 
  • 物を投げたり、叩いたりする 
  • 周りの人を殴ったり蹴ったりする 

というような状態もがみられます。 

それまでは問題なく穏やかに過ごしていた子どもが突発的に癇癪を起こすこともあります。 また過度な場合だと癇癪を起こしているときに、自制できない衝動的な行為として自分を傷 つけてしまったり(自傷行動)、物を壊したり、他者を傷つけてしまう(他害)こともあります。癇癪は、子どもにとっての何かを訴える機能となっています。

例えば、今見ていた自分の好きなテレビ番組を急に消されてしまった。自分の好きな番組がまだ見たくて、癇癪を起している子どもの状況を考えてみましょう。テレビを再びつけてほしい。まだ自分はテレビを見 ていたいんだ。という気持ちを訴えるために子供は癇癪を起こします。言葉での説明や大 人を説得する力がまだ不十分な子供は、自分の意思を伝えるため、また要望をかなえるた めの手段として癇癪を起こしてしまいます。 

上の例でいうとテレビ番組をけされたのが癇癪の原因で テレビ番組を再び見ることが子供にとっての要望です。 癇癪を起こしてしまう子供を見ていると親や身近な人は困ってしまうと思います。 

また子ども自身も気持ちのコントロールができず、やり場のない気持ちをどう対処していい か困っている場合もあります。 

泣き叫ぶ子どもを見ると「なんでそんなにないてしまうのか」と親もイライラしてしまうことも あるかもしれません。しかし子供の癇癪と上手に向き合い、対処する方法はいくつか考えら れます。

ちなみに、0歳の赤ちゃんが泣いたりすることは、この時期に必要なことです。

保護者は無視せず、赤ちゃんの要求に応えることが重要となっていきます。赤ちゃんはまだ言葉でコ ミュニケーションできないので、泣くことで自分の欲求を伝えてきますので。

子供が癇癪をおこしたらどう対処していいのか? 

絶対にしてはいけない対応 

子供が癇癪を起こして、それをやめさせようとして、結果的に要求を叶えてしまう。 

簡単ですが、上記↑の対応をしてしまうと、

子供は癇癪を起こせば嫌なことしなくて済んだ、欲求がかなった

と覚えてしまいます。このような経験が積み重なるとコミュニケーションの手段として癇癪が習慣化してしまうと考えられます。 

例えば、スーパーでお菓子が欲しくて癇癪を起こし、母親が買ってくれた、癇癪を起こして お片付けをせずに済んだ。このように、親にとっては癇癪をやめさせるためにした行動が、 子どもにとっては「癇癪を起こせばいいことがある」というご褒美になってしまっていることもあるのです。 

具体的な対処法

親が冷静になる 

まずは親は感情を表に出さずに、冷静になります。子供がダメなことをしたときは、理由も 併せて説明すると子供もただやみくもにダメといわれるより納得してくれます。親側もただ 感情的に起こるのではなく、~な理由でだめなんだ。~な理由で~しなくてはいけないんだ と、子供に対して落ち着いて対応できたりします。

癇癪のピークで欲求をかなえてはいけない 

癇癪のピークでそれをやめさせようと欲求をかなえると、子供は上記のとおりまた癇癪をお こせばいいんだと覚えてします。(強化させてしまう) 

ですので、子供がよい子にしている状態の時、良い行いをしたときに、すぐに欲求をかなえた り、ご褒美をそのタイミングで与えるのが良いと考えられます。もし癇癪を起こしてしまった としても、その後、いったん子供が完全に落ち着いて善い行いができた、親の言うことを理 解できて謝れたなど、良い行動の後にご褒美がもらえるという体験を増やすことで癇癪が減る場合もあります。 

また、子供なりに言葉でできるだけ感情や思いを伝えられるよう「言葉で言ってごらん」などかけ減ることも大事です。うまく言葉が出てこない年齢では、子どもたちが話したいことを予測し、一生懸命話そうとしている場合は言葉のお手伝いをしてあげてもいいかもしれません。 

親が感情的に怒ってはいけない 

親の暴力、言葉で怒鳴ることも含め、子供の脳を委縮させたり、発達を阻害させてしまったり、心の傷になってしまったりといいことがありません。イライラする気持ちを抑えるのは難しいことですが、子供のためにも親は極力冷静に対応しましょう。感情的に怒ってしまうと子供の癇癪もエスカレートする場合があります。 

癇癪と発達障害の関連について

たびたび癇癪が起こるからといってすべての子供に発達障害があるとはいいきれません。 ただし、 そもそも自閉症、ADHDなど発達障害のある子どもは気持ちのコント ロールが苦手です。

自閉症スペクトラム障害といわれる発達障害のある子供の場合、相手の気持ちや意図を理解することが苦手です。また、こだわりがあり他人に合わせるのが苦手、という特性もあります。他者の思いが見えないままに、自分の思いで行動しようとした時に、相手から「これをしてはだめ」と行動の抑止が入ると、それが「自分のしたいことを邪魔する」として不快 な気持ちが起きます。 

ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合は、「~したい」という気持ちを抑えることが苦手です。相手の気持ちが分かったとしても、自身の欲求が優先されてしまい、感情的になって、 爆発的に周囲に怒りをぶつけてしまうことがあります。 

また、言葉に遅れがある場合は、発話が困難であったり、身振りや手振りでうまく伝えるのが苦手であることで、その伝わらないもどかしさや要求を伝えるための手段となり、癇癪を起こしやすくなります。 

発達障害のある子どもの中で特に自閉症傾向の子供は、幼少期の言葉の遅れがある傾向にあります。発達の個人差によりますが、定型発達の子と比較して、言葉の発達がわずかな場合もありますが言葉の発達のスピードがゆっくりです。発話が困難であったり、身振りや手振り でうまく伝えるのが苦手であることで、その伝わらないもどかしさや要求を伝えるための手 段として、癇癪を起こしやすくなります。

癇癪を起こさないために普段から気を付けたいこと

普段の生活から子どもに十分配慮をし、癇癪が起きたとしても親が慌てず冷静に適切な対 応をするよう気を付けることが重要です。

 

見通しの立てられるような言葉がけ 

気持ちの切り替えを行うことは子どもにとっては難しいことです。いきなり遊びを中断された りすることは子どもにとって大変ストレスなことなので、癇癪を起こす要因の一つとなりま す。 

次の行動に移るためには、気持ちの準備をする時間が必要です。「●●したら、ご飯にしようね」など、次の行動が予測できるような声掛けを行うことで、子どもは行動を切り替えるた めの心の準備をすることができます。 

視覚的にわかりやすくすることで、伝わりやすくなることもあります。スケジュールの変更を 文字や絵、写真などで見せる理解しやすくなる場合もあります。ゲーム、テレビなどのあそ びの利用時間を制限したい場合には、タイマーや時計などを使用して終わりの時間を視覚化するのもおすすめです。 

気持ちを伝えるツールを使う 

「今、自分はこんな気持ちだ」ということが周囲に知ってもらうだけでも、気持ちが楽になっ ていくこともあります。言葉で気持ちを伝えるのが難しい場合、絵カードを使って視覚的に 気持ちを伝える方法もあります。

「落ち着いている」「少しイライラしている」「とてもイライラしている」「我慢できない」などと カードに感情を表す絵を描いて子どもの目に見える場所に置いておきます。 

しかし、これらのツールによってしまい言葉が一層遅れてしまう。言葉を使おうとしないと いったマイナスの点も考えられるので、できることなら自分の言葉で気持ちや状況を伝えら れるよう支援して行くのがベストかと思います。

まとめ

お子様が癇癪を起こしてしまうと、大人もどう対処していいか困ってしまいますが、感情的にならず(難しいですが)ここは落ち着いてその原因は何か考えて子供に対応してあげられると良いですね。

癇癪には見通しを立てるための言葉がけ、気持ちをお子様がうまく伝えられるためのツールをすかうなどの工夫を考えていくと効果的かと思われます。

子育て、子供の指導に正解はありませんので日々模索しながらベストな対処法に巡り会えると良いです。少しずつ実践していけたらと思います。

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