インサイダー・ゲーム

今回は「株式会社オインクゲームズ」が販売しているゲームの「インサイダー・ゲーム」を使ったときのレビューを紹介します。

商品概要

教材名インサイダー・ゲーム
発売元株式会社オインクゲームズ
定価2200円(税込み)
対応学年小学校中学年以上(中学生以上推奨)

私たちはほんとうに自分の意思で決断しているのでしょうか?自分で決断しているようでも、勝手に耳に入ってくる声や目にする情報によって、気づかぬうちに誰かに操作されているのでは・・・? 「インサイダー・ゲーム」はそんな疑問がテーマ。会話で進めていくクイズの正解を目指しながら、陰で議論を思い通りに操作している狡猾なインサイダーを見つけ出さなければなりません。逆にインサイダーは、正体を隠しながら世論をうまく導くことを目指します。クイズと正体探し、ふたつの楽しさが絶妙にマッチした、短時間でみんなが盛り上がれる会話ゲームです。

商品説明

前半戦は「マスター」がカードで引き当てたワードに「はい」「いいえ」だけで答えられる質問をして、その単語が何かを当てていく古典的なゲーム(一般的には『20の質問』『10の扉』などと呼ばれることが多いようです)。

しかし、そのワードが当てられてから後半戦が始まります。実は、参加者の中に、本当は答えを知っていながら知らないふりをしていた「インサイダー(内通者)」がいるからです。インサイダーは、自分がインサイダーだと他の参加者にばれないようにしながら、答えのワードに近づけるように、都合の良い質問をしていきます。そのインサイダーが誰なのかを議論しながら、当てるゲームです。

インサイダーになると、あまりにも直接的な質問をすると自分がインサイダーだとばれますし、遠すぎる質問ではチームが答えにたどり着けませんから、程よい質問が必要になります。

またインサイダーでもないのに、鋭い推測で答えを当て、後半戦でインサイダーだと疑われてしまうこともあります。

語彙力・発想力・推理力に加え、観察力やディスカッション能力も求められる総合型のゲームです。

使用レビュー

今回は3人の生徒で使用感を比べてみました。

対象児童

●     Aくん
支援学校高等部3年生、特徴→抽象的な概念が苦手。自分の気持ちや行動をそのまま言葉に出してしまうことがあります。
●     Bくん
高校1年生、特徴→学習は得意ではありませんが、コミュニケーション力もあり、心理型のゲームが好き。
●     Cくん
中学2年生、特徴→自発的な発言が苦手で、コミュニケーション型のゲームだと、ゲーム進行と無関係な事をしてしまうことがあります。

指導方法

・ルールの説明をして実際に行います。5名から8名ぐらいが適正人数かと思います。人数に余裕があれば、職員ひとりはカードをマスターやインサイダーにこっそりと見せる役目をすると、ゲームはスムーズに回ります。

・本来は、完全にランダムで選ぶマスターとインサイダーですが、ゲームをスムーズに進行させたい場合は、マスターは先生からの指名制にしてもよいと思います。

・「ワード」も必ずしもゲームカードの中から選ぶ必要はなく、参加者によっては、わかりやすい単語を選んだ方がよいでしょう。

結果

それぞれの子に使ってみた感じをまとめました。

Aくん
インサイダーになると、すぐに正解をそのまま「それは〇〇ですか」と言ってしまいます。
Bくん
非常にこのゲームが好きで、楽しんでいました。インサイダーになると、他のメンバーを上手くだますことができるのですが、マスターになるとYES・NOでも、そのワードをうまく説明することが出来ないことがあったので、答えを知っている職員が補助につくか、最初からワードを絞って行いました。
Cくん
前半の質問のターンで、自分の番では黙ってしまったり、何を言えばいいのか分からないことがあったので、職員が少しずつ「何を質問すればいいのか」のヒントをだしながら進めました。

総評

評価★★★★☆
レベル中級教材

語彙力・発想力・想像力など様々な能力を使うゲームで、非常に頭を使いますし、楽しめます。

問題点としては、ある程度人数がいないと楽しめない(最低でも4名)ことや、マスターやインサイダーにある程度の慣れがないと、難しすぎるワードがあることです。また、振り分けられた役割(マスター、インサイダーなど)が、その児童に難しい場合はゲームの進行がグダグダになってしまう場合があるので、うまく、先生側が調整する必要があります。

この教材が向いてるタイプ 

・言語表現を広げたいタイプ
語彙だけではなく、後半は、他のメンバーを説得する力が求められます。
・コミュニケーション型、心理型のゲームが好きなタイプ
ゲームを通してコミュニケーションを楽しむことができます。

向いていないタイプ

・落ち着きがなく、順番を待っていられないタイプ
前半でメンバーによっては質問までに時間がかかる場合もあります。その間に、待ったり人の話を聞けないタイプは楽しめないかもしれません。
・どんな質問をすればいいのか分からなくなってしまうタイプ
良い質問は難しいので、何を言ってよいのか分からず、固まってしまう児童もいます。
・ものごとを何でも直接的に表現してしまうタイプ
特にインサイダーになると、あまりに直接的な質問をしてしまい、ゲームがすぐに終わってしまいます。

指導のポイント

こちらのタイプの子たちは、この一工夫で使えるようになるかも。

落ち着きがなく、順番を待っていられないタイプの子の指導

他のメンバーの回答をよく聞くように指導しましょう。

どんな質問をすればいいのか分からなくなってしまうタイプの子の指導 

回答者が迷ってしまって進行が止まる場合には、何パターンか、基本的な質問を並べ、その中から選ぶことで「質問の仕方」を学んでもらっても良いでしょう。

ものごとを何でも直接的に表現してしまうタイプの子の指導 

インサイダーにはならないように、先生側が調整してみてください。マスターは問題なくできますが、「YES」「NO」以外の回答をしてしまわないように注意した方がよいでしょう。

教材を許可なく私用以外でのコピー、再配布することは禁じられています。個人の利用の範囲内で使用して下さい。

効果には個人差があります。「まなぽん!」は、それぞれの子どもの特徴にあった指導法を知ってもらうためのサイトです。初めから子どもの特徴を決めつけず、紹介している様々な方法を試してみて、その子に合ったより良い指導法を見つけみてください。(「こんな子の場合の指導法が知りたい!」などのご希望があればコメントでも受け付けております。)

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