「愛着障害」という心理学的専門用語を最近ではよく耳にするようになりました。ですので、この記事では病院などの公的施設で精神疾患の分類と診断に使われるDSM-5の基準にのっとって、なおかつ分かりやすく愛着障害について説明していきたいと思います!
「愛着」と聞いてももなんかよくピンと来ないなあ、とお考えの読者様はアタッチメントと愛着障害を先に読むと理解を深めることが出来るかと思います!
それではまず、愛着障害はDSM-5で「心的外傷およびストレス因関連症候群」に含まれます。「トラウマ」や「強いストレス」が原因となって発症した精神疾患を指します。「心的外傷およびストレス因関連症候群」には愛着障害の他にも心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、および適応障害が含まれます。
身体の健康のみならず、心の健康においても同様のことが言えるので、心の健康を保つためにもこの異常心理学を覗き、読者の皆さま自身と周りの方々の力になれたら幸いです!
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精神疾患の定義
「精神疾患」という大枠の定義について説明したいと思います。
精神疾患とは
「心と身体、そして発達や認知、感情コントロール、行動から臨床的に基準によって診断される症候群です。社会や職場、学校など生活のなかで苦痛を伴い、活動機能とも関連します。社会的に逸脱した行動や葛藤が個人の機能不全によるものでなければ、精神疾患ではありません。」
えー、マジむずくないっすか?本当はもっとゴリゴリお堅い文章なんですが、まだ難しいですね。さらに要約すると、「心と身体、感情や行動」から診断がなされます。症状によって苦痛を伴うのであれば疾患として、苦痛を伴わなければ疾患ではありません。
社会的に逸脱した状態が本人の機能不全に基づくのであれば疾患として、本人の機能不全に基づかないのであれば疾患ではありません。」
一番のポイントは心と体と情緒そして行動による症状があることで「苦痛を伴うかどうか」です。「当てはまったけどちょっとまって、辛いかな辛くないかな?」「あ、かといって辛くないし大丈夫そ!違うな!」
と私は普段から判断しています。ですので、苦痛が伴うかどうかをまず基準にすると良いかと思います。そして、「苦痛が伴っていた場合にはその先の細かい基準について確認する」ことを推奨します。
愛着(アタッチメント)とは
次に愛着の説明になります。
「愛着」とは「母親をはじめとする養育者との間に築かれる心理的な絆」です。愛着はパーソナリティを形成する上で重要になります。
幼児は特定の大人に愛着を感じるようになり、その大人を心理的な安全基地とします。そして、次第にそこから離れることで新たなの目標を探索し、活動を広げていいいます。
つまり、愛着の形成は自分の安全領域と新たな環境に適応するために重要になるのです。
反応性アタッチメント障害
愛着障害には「反応性アタッチメント障害」と「脱意欲型対人交流障害」が存在します。
ここでは、「反応性アタッチメント障害」を紹介いたします。
・5歳以前に発症
・子供は9ヶ月以上の年齢に達している
・大人の教養者に対して一貫した消極的な様式:
(1)辛いときでも、子供はめったに慰めを求めない
(2)辛い状況にあるときでも、慰めに対して最小限にしか反応しない
・次のうち、最低2つの持続した対人関係での感情的障害
(1)他者との最小限の交流関係
(2)愛情や好感、信頼感をあまり表さない
(3)大人の教養者との間で普段の交流でも、原因のない苛立ちや悲しみ、そして恐怖感を示す
・その子供は少なくとも1つ以下の教育環境を経験している
(1)愛情や好感、信頼感などが持続して十分に与えられなかった
(2)教養者の頻繁な変更
(3)教養者に対して子供の比率が高い環境
・自閉症スペクトラムの診断基準を満たさない
具体的な傾向としては、養育者に対してもかなり距離を置きます。
本来であれば養育者を自分の精神的に安心できる場所とするのですが、それができないがために、他者に対しても興味を示さなかったり、交流関係を持とうとしなかったりします。
脱抑制型対人交流障害
愛着障害には「反応性アタッチメント障害」と「脱意欲型対人交流障害」が存在します。
次に、「脱意欲型対人交流障害」を紹介いたします。
反応性アタッチメント障害が人に対して愛着をあまり求めないに対し、脱抑制型対人交流障害は異常に人にくっついてきます。診断基準は以下の通りになります。
・広範囲な愛着が5歳以前に見られ、12ヶ月以上持続している
・その子供は9ヶ月以上の年齢に達している
・次のうち少なくとも2つの見慣れない大人に対して積極的に交流しようとする様子がある。
(1)見慣れない大人に対してためらいも無く交流する
(2)過度になれなれしく話して来たり、身体的な行動をとったりする
(3)慣れない環境で養育者と離れる状況下でも、遠くにいる養育者を確認しない
(4)あまりためらいもなく、見慣れない大人についていく
・以上の行動が注意欠陥多動性障害(ADHD)によるものでない
・その子供は少なくとも1つ以下の教育環境を経験している
(1)愛情や好感、信頼感などが持続して十分に与えられなかった
(2)教養者の頻繁な変更
(3)教養者に対して子供の比率が高い環境
具体的な傾向としては、上記にも書いたように、あまり知らない大人に近づき抱き着いたり、慰めを求めたりします。養育者から十分な愛情を得れなかった分を、他者に求めるかたちになります。
まとめ
反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害は真逆な症状が見られます。ですが、共通しているのは、養育者との愛着形成が不安定だったことから上手に養育者に甘えることが苦手です。そのために、意地っ張りになってしまったり、極度にわがままになってしまったりします。
いかがだったでしょうか。
専門的な内容で少し難しかったかと思いますが、思い当たる節がある場合は専門機関にご相談しましょう。養育者一人で解決するのは難しいこともありますので、専門の人々の力を借りて向き合っていきましょう🦉。