発達障害との付き合い方

みなさんは発達障害についてどのようなイメージを持っていますか?

「変わった人」「困った子」「障害の“害”という字で良くない印象」などネガティブなイメージで、敬遠されることも少なくありません。

放デイに通っている方の中にも、発達障害を受け入れられず心の中で葛藤しているお子さんや保護者様もいます。

「障害を理解する」って、自分のことやお子さんのことになるとなかなか難しいですよね。

実は私も知人から「お前はLD(学習障害)だよ」と言われたことがあり、受け入れるのにとても時間がかかりました。

今回は、私自身の発達障害に対しての葛藤、そして知能検査を受けて自分の得意不得意を知りどう感じたのか、書いていきたいと思います。

この記事を読んで、悩んでいる誰かの心が少しでも楽になれたら幸いです。

※今回私は、WAIS-Ⅲ成人用の知能検査を行いました。

まずは発達障害の種類と特徴についてご説明します。

・自閉症、アスペルガー症候群を広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)

「言葉の発達の遅れ」「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、こだわり」などの特徴をもつ障害です。

主な特徴

・人とのやりとりが苦手

・こだわりが強い

・人が何を考えているのか分からない

・変更が苦手

・聞いて理解することが苦手 など

・注意欠陥多動性障害(ADHD

「集中できない(不注意)」「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に動く(衝動的な行動)」などを特徴とする発達障害です。

主な特徴

・おしゃべりがやめられない、じっとしていることが苦手

・先の見通しをたてるのが苦手

・忘れ物が多い

・周囲の刺激に気を取られやすい など

・学習障害(LD

全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く・話す・読む・書く・計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難を示す様々な状態を言います。

主な特徴

・自分で伝えたい言葉を文章にしたり、書き表したり、「読む」「書く」「計算する」ことに対して、困難を感じる など

・グレーゾーン

IQが境界域で発達障害の特性は見られるものの軽微であり、少しの手助けや本人の工夫でカバーができてしまうもの、確定診断ができない状態のことをいいます。

診断基準に満たないため、子どもの困り感が少ない・特性も弱いと考えられてしまいがちです。

グレーゾーンの子どもこそ、「努力が足りない」「甘えている」と周りから誤解されることもありますが、自分の特性を理解してうまく対処法を身につけておけば将来的に生活や学習がしやすくなると考えられます。

大人になってから発達障害だと知る

私は小中は公立校、高校は私立校で過ごし、大学は幼児教育を学ぶ短期大学を出ました。

学生時代とにかく勉強が嫌いで、自分の考えを述べる問題や読解力が必要な問題は苦手で赤点取ることを多かったのを覚えています。一般の集団授業の塾は“友達が通っているから”という理由で通いましたが、周りのペースについていけず退塾し家庭教師やマンツーマン授業の塾に通いました。

この時は〝発達障害″“学習障害”という言葉を知らなかったので、「自分は頭が悪い」と認識して過ごしてきました。

私はコミュニケーションがそれなりに取れたので、知らないワードが出た時に〝わかったふり″をして流していました。

間違った単語を使った時は、周囲の人たちが私の話した内容から文面を読み取り「○○じゃない?」と正しい単語を言ってくれたので「そうそう!それ」と言うのを繰り返してきました。

ですが、ある日先輩から「お前はLD(学習障害)だよ」と言われた時は、衝撃的で太い針が心に突き刺さった感覚でした。

放デイに勤務して発達障害やグレーゾーンの子を近くで見て、「困っている事は一緒に解決していこうね」と思いながら働いていますが、自分に対しての障害受容は全くできていませんでした。

自分の中の葛藤

自分が発達障害だと気づき、両親には申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

誰かに相談しても「発達障害であることを理解しろ」と言われそうで、「障害を受け入れられない自分が悪い」と思い込み何度も自分を責めました。

仕事では子どもたちが解く問題文の意味や答えが分からず、解説を読んでも理解ができないことが何度もありました。

その度に「自分はどうせできない。こんな人に子ども達も勉強教えてもらいたくないだろう」とどんどん自己肯定感が下がっていきました。

WAISの知能検査を受けてみました

自分の中で「私は文章を読むことはできるし、計算もできないわけではない。

理解するのに時間はかかるけど解く力はあるはず。どこが学習障害という認識なの?」と強く疑問に感じました。

特にグレーゾーンのお子さんは、「周りと何が違うの?」と感じるお子さんは多いのではないでしょうか。

本当に学習障害なのか知りたいと思い、自分の得意・不得意を知りたい、ネットで調べてもどれが自分に当てはまるのか分からなかったので、思い切って“大人の知能検査WAIS”を受けてきました。

まず初めに

IQとは?

WAIS-Ⅲの知能検査とは?

正式名称は「ウェクスラー成人知能検査第3版」、対象年齢は16歳から89歳です。

WAIS-Ⅲでは、言語性IQ(VIQ)と動作性IQ(PIQ)と全検査IQという三種類のIQが測定されます。

言語性IQVIQは、「耳で聞いた情報を処理する能力や言葉を使って考え、表現する能力」を示すIQです。

動作性IQPIQは、「目で見た情報を処理する能力、非言語的な知識や空間的な動きを把握する能力」を示すIQです。

全検査IQは、「言語性IQ」と「動作性IQ」から算出される総合的な知的発達の水準を示すIQです。一般的に、言語性IQは生育環境や学習環境の影響を受けやすく、動作性IQは後天的な要素の影響を受けにくいと言われています。

検査結果

 (イメージ図)

数値として低い部分も当然として学習障害に繋がってはいますが、見るべき点は数値と数値の差です。

発達障害の特性が薄い方や無い方でも、すべての指数が同じ数字はなく、多少の数値の凸凹はあると思います。ですが、個人内差(バランス具合)が一般的な平均値に入っていない場合に、何らかの困難を抱えていることになります。

グラフを見て「あれ?別に凸凹しているように見えない」と思いましたが、私の指標は順番が違うだけで凸凹していて、差が大きく、アンバランスな能力の偏りとなっていました。

私の苦手としていることは、「言語理解の言葉を言い換えること」「言葉の意味理解」「パターンを論理だてる」「知覚の図形やパズル、平面図が苦手」と検査者の方が言っていました。

確かに、言葉の単語は知っていても間違って覚えていたり、その言葉の使い方を知らず、よく訂正してもらうことが多いです。

得意としていることは、「決められたことを素早く処理すること」でした。

例えば、簡単な計算問題や、資料をPCに打ち込む作業、板書などやり方を覚えてしまえば簡単なもの、単純作業は得意だそうです。

前職で事務の仕事をしており、業務の一環に「受注商品の入力」がありました。朝出勤してすぐ、配送のトラックが出発するまでの2時間という決められた時間の中で1000枚近い受注FAXを配送時間順に振り分け、その後受注商品の番号をPCに入力していく仕事が全く苦ではなかったです。

また、簡易検査では個人の弱い部分(苦手)と強い部分(得意)が出るらしいのですが、私の場合は「書き写す」能力が高い数値が出ていました。

「書き写す作業」は「決められたことを素早く処理する」と同じ部類なので、やはり処理速度が高いということは単純作業がとても得意だといえます。

得意・不得意を知って

私は、言語による説明と言葉を言い換えることが苦手だと結果が出ました。

この結果を基に、検査者の方から「言い換える練習や語彙を知る練習」として、「テレビや会話で気になったことを書き写す」「自分が理解できるまで説明をしてもらう」ことが大切だと教えてもらいました。

「言葉が間違っていたら教えてね」と周りに伝えて直してもらうことで、正しい言葉を覚えていく。また、書き写す作業を加えることで「書き写して覚えていく」ということができる「自分の強み」と教えていただきました。

まとめ

障害名にとらわれずに、その子自身の得意不得意を本人が正しく理解することと、周りが正しくサポートすることが大切だと感じました。

今回、私自身もWAIS検査を受けましたが、自分の得意不得意を知ることが出来、気が楽になりました。以前は、なんで?とモヤモヤしていた気持ちも多々ありましたが、以前より自分のことを知ることが出来て生きやすくと感じます。

第三者から自分の特性を他人から言われたり、いきなり「~さんは自閉だね」「ADHDだね」と障害名をもし言われたら、とてもショックだと思います。

私自身も身の回りの親しい人にそのようなことを言われ、ショックを受けたことがありました。私だけでなく、発達障害の特性を持つ人は細かく言えば程度の差があるものの、多くいると思います。

自分が困ってしまえば障害かもしれませんが、自分の特性と上手く付き合っていければそれは個性ではないのかなと思います。

障害名で決めつけるのではなく、その子(自分)は何が得意で何が苦手なのかを理解することが大事だと思います。

WAIS検査では得意不得意が数値化され、可視化される検査であり、障害を決めつけるためのものではありません。

得意不得意を知ることで自分なりに対処できる方法を身につけることができます。また、自分の苦手なことを予め相手に伝えておくこともできます。

私の場合だと「言葉の理解が苦手で、物事を素早く処理する力が得意」という結果が出たので、「言い間違えしちゃうかも」「もし間違った言葉を言っていたら教えてね」「私入力作業得意だからやるよ」と相手に伝えることが出来ます。

もし周りの方で「自分の子どももしかして・・・」や「障がい名を言われた」と悩んでいる方がいたら、「自閉症だ」「学習障害だ」と障がい名だけで判断するのではなく「~~て伝えた方が分かりやすいよね」「○○さんは大まかな説明だと理解するのが苦手だから細かく説明するほうが分かりやすいよね」とその人の強み、特性に合わせて物事を伝えることが出来るようになると思います。

特性は本人と周りが理解することが大切です。

周りも正しい支援やサポートをして、特性を持つ子を支えたり、また、自分自身にもし当てはまることがあるならば自分自身の特性を理解して自分でも対処法を身につけることが大切だと思います。

障害名で判断するのではなく、自分の得意不得意、強みや弱みを理解していくことが一番重要だと気づくことができました。

これは発達障害の悩み以外でも言える事ですが、悩みを1人で抱え込まないでください。

友達・周りの人、理解してくれる人、同じ境遇のママさんなどに話を聞いてもらう、そして自分を褒めてあげることがとても大切だと感じます。

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